銀太郎広告アリ全ページ
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土曜日の午後。 薫伯父と梓伯母夫妻は前もって連絡を受けていたので、銀太郎が来るのを待ちかねていた。 「ねえ、あなた。銀ちゃんのお昼用意しておかなくても、いいかしら?」 「『二時ごろになる』と怜子が言っていたから、多分、いらないんだろうが、もしまだ食べてなかったら、銀太郎の好きなものを、何かとってやればいいじゃないか」 「そうね」 まるで自分たちの子供が帰ってくるかのようにそわそわしている二人である。 「ちょっと出かけてくる」 薫伯父は、ドアに手を掛けた。 「どこに行くのよ、銀ちゃんが来るのに」 「タバコ、タバコだよ」 「タバコならあるわよ、いつもの所に。ちゃんと買い置きしてあるのよ」 「あっそう、ありがとう。でも、買いたいものもあるし、ちょっと駅前の商店街にいってくる」 甥を待ちかねて、夫は駅まで迎えに行くのだ、と梓は合点した。 駅の階段をおりてくる銀太郎の姿が見えた。銀太郎も伯父の姿にすぐに気付いて、片手を上げた。 「伯父さん、こんにちは。ご無沙汰しました」 伯父も手を上げて、それに答えた。 「ちょうど、タバコが切れたんでな。買いにきたところだったんだよ」 照れくさそうに、頭をかきながら伯父さんが答える。そして、タバコを銀太郎に差し出して見せた。 銀太郎には、タバコを買いにきたというのは嘘で、伯父は自分を迎えに来てくれていたんだとわかった。しかし、そぶりには見せなかった。 「そうなの、タイミングよかったね」 「銀太郎、お前はラーク・マイルドだったか」タバコの自販機に手を伸ばした伯父に銀太郎は、 「伯父さん、俺、タバコやめたんだ。もう一年になるよ」 伯父は「そうか」と、いささか拍子抜けしたように短く答えた。 商店街のメインストリートを歩きながら、 「そうか、それがいい。タバコは百害あって一利なしだからな」 と、薫伯父さんはうまそうにふうっと煙を吐くのであった。 労働組合「超」活動法 ~BEST主義のリーダーシップ~ 監修:西尾 力 / B5版 111頁 定価 1,400円(税込) 組合役員が組合活動を明るく、楽しく、元気よく行えるように、組合活動を経営学の観点から体系化した画期的著作。 第1~8講座のテーマ別に、若き組合員の悩みにDr.レイバーとMiss.ユニオンが明快に解答! 21世紀の組合活動の原点『BEST主義』のリーダーシップ

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